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「Summertime」で学ぶ、ドミナント7thコード上でのハーモニック・マイナーの使い方

9月10日
読了時間: 9分

「Summertime(サマータイム)」は、ジャズ・スタンダードを学び始める生徒さんに、最初の一曲としてよくおすすめしている曲です。


それには、ちゃんと理由があります。


メロディーは覚えやすい。コード進行も、そこまで恐ろしいものではありません。そしてアドリブを始めたばかりの段階でも、基本的なマイナー・スケールひとつで、曲の大部分を弾くことができます。


これはとても便利です。


ただ……


ずっと同じマイナー・スケールだけで弾いていると、だんだんサウンドが少し地味というか、のっぺりしてきます。😕


音楽理論的に間違っているわけではありません。音もちゃんと合っています。


でも、ソロ全体が単調に聴こえてしまうことがあります。


その理由は、曲の中にある大事なコードチェンジが、ソロにあまり反映されていないからです。


そこで役に立つのが、ハーモニック・マイナー・スケールです。


曲全体をハーモニック・マイナーで弾く必要はありません。


むしろ、ずっと使わない方がいいです。


特定のドミナント7thコードの上で、一瞬だけハーモニック・マイナーに切り替える。


その瞬間に、あの独特でカッコいいサウンドが生まれます。


この小さな切り替えによって、フレーズに緊張感が加わり、コードチェンジがはっきり聴こえるようになります。


そして、ソロ全体が延々と続くDマイナー・スケールの練習のように聴こえるのを防ぐことができます。



動画レッスンをチェック

下の動画では、「Summertime」のコード進行の中で、ハーモニック・マイナーのサウンドを実際にどう使うのかを紹介しています。


動画では、次の内容を取り上げています。

  • A7上でのDハーモニック・マイナー

  • D7上でのGハーモニック・マイナー

  • C7上で使える、少しカラフルなFハーモニック・マイナーのサウンド

  • スケールをただ上がったり下がったりするのではなく、大事な音を使ってフレーズを作る方法


目的は、新しいスケール・ポジションを3つ暗記することではありません。


まずは動画を見て、実際のコード進行の中でどのように聴こえるのかを確認してみてください。


そのあとで、下の解説を読みながら、なぜそのサウンドが使えるのかを整理していきましょう。




一番大きな違いは、7thを半音上げること

まずは、Dナチュラル・マイナーから見てみましょう。



次に、Dハーモニック・マイナーと比べてみます。



変わっている音は、たったひとつです。


CがC#になります。


でも、この一音がかなり大きな違いを生みます。


7thを半音上げることで、ルートに戻ろうとする力が強くなります。


そして「Summertime」のA7コード上でも、コードの響きがよりはっきりと聴こえるようになります。


ここが大事なポイントです。


スケールを上がったり下がったりするために、もうひとつ新しい形を覚えるわけではありません。


半音上がった7thの音を使うことで、コード進行の動きをより明確に表現するために、ハーモニック・マイナーを使います。



1)A7上でDハーモニック・マイナーを使う


「Summertime」の中でよく出てくるコードの動きのひとつが、こちらです。


A7 → Dm


これは、ドミナント7thコードがマイナー・コードへ解決する進行です。


そして、Dハーモニック・マイナーを使うのにぴったりの場所です。


なぜでしょうか?


Dハーモニック・マイナーに含まれるC#は、A7コードの3rdでもあるからです。


この音は、とても重要です。


Dナチュラル・マイナーやDマイナー・ペンタトニックのまま弾いていると、A7上でもCナチュラルを弾くことが多くなります。


それでも問題なく聴こえる場合はあります。


特に、ブルージーなサウンドや、少し曖昧な響きを狙っている場合には使えます。


ただ、C#を弾くと、聴いている人にはっきりこう伝わります。


「はい、今はA7ですよ!」👋


コードチェンジが、グッと明確になるわけです。


曲全体をひとつの大きなDマイナーの遊び場として考えるのではなく、A7が出てきた瞬間だけDハーモニック・マイナーに切り替えてみましょう。


さらに良いのは、C#を意識して狙うことです。


スケールを最初から最後まで弾く必要はありません。


タイミングよくC#を一音入れるだけでも、そのサウンドを十分に出せることがあります。

その方が、


「A7が来た。よし、ハーモニック・マイナーの形を披露する時間だ」


と考えてスケールを上下するより、ずっと音楽的です。



2)半音上げた7thが、一番おいしい音


練習するときに、まず一番意識してほしいのがここです。


新しいスケールを覚えると、多くのギタリストはすぐに7音すべてを使おうとします。


でも、新しいサウンドを出すために、必ずしも7音すべてを使う必要はありません。


今回の重要な変化は、これだけです。


C → C#


まずは、ここから始めましょう。


シンプルなDマイナーのフレーズを弾きます。


そしてコードがA7に変わったときに、C#を入れてみてください。


C#に着地してもいいです。✔

半音下からアプローチしてもいいです。✔

半音上からアプローチしてもいいです。✔

短くC#を弾いて、そのあとDへ解決するのも良いでしょう。

目的は、その一音によってハーモニーがどう変わるのかを、耳で感じることです。

その変化をはっきり聴けるようになると、スケールのほかの音も、ずっと自然に使えるようになります。

逆にそのサウンドが耳に入っていないと、ハーモニック・マイナーもすぐに、

「指は形を知っているけど、耳はよく分かっていないスケール」

のひとつになってしまいます。

3)D7上でGハーモニック・マイナーを使う

同じ考え方は、次のコード進行でも使えます。

D7 → Gm

今度、解決先になっているマイナー・コードはGマイナーです。

そのため、D7上ではGハーモニック・マイナーを使うことができます。

Gナチュラル・マイナーは、こちらです。




Gハーモニック・マイナーはこちらです。



ここでも重要なのは、半音上がった7thです。


Gハーモニック・マイナーに含まれるF#は、D7コードの3rdでもあります。


D7が出てきたときにF#を使うことで、D7の響きがはっきりし、Gマイナーへ強く進もうとするサウンドが生まれます。


仕組みは先ほどとまったく同じです。


A7 → DmA7上でDハーモニック・マイナーを使う。

D7 → GmD7上でGハーモニック・マイナーを使う。


コードは違いますが、考え方は同じです。



基本ルール

シンプルにまとめると、こうなります。

ドミナント7thコードがマイナー・コードへ解決するときは、解決先のコードをルートにしたハーモニック・マイナーを使ってみる。

例えば、

A7 → DmA7上でDハーモニック・マイナーを使う。

D7 → GmD7上でGハーモニック・マイナーを使う。

E7 → AmE7上でAハーモニック・マイナーを使う。


理論的には、これは「V7からマイナーのⅠへ解決する進行でハーモニック・マイナーを使う」と説明されることがあります。


覚えておくと便利な言葉です。


ただ、実際に演奏するときは、もう少しシンプルに考えても大丈夫です。


「次は、どのマイナー・コードへ向かっているんだろう?」


まずは、それを考えます。


そして、直前のドミナント7thコード上で、解決先のハーモニック・マイナーを使います。



どこでも使えばいいわけではない


🔥ここはとても大事です🔥


ハーモニック・マイナーのドラマチックな響きを覚えると、曲全体にホットソースのようにかけたくなります。


でも、少量だからこそカッコいいんです。👌


このスケールが効果的なのは、サウンドにコントラストが生まれるからです。


最初に、通常のマイナー・サウンドがあります。


そこにドミナント・コードが出てきた瞬間、7thを半音上げる。


すると、急に緊張感が強くなります。


そしてコードが解決したら、通常のマイナー・サウンドへ戻ります。


この動きがあるからこそ、ハーモニック・マイナーを使った瞬間が効果的に聴こえます。


ずっとハーモニック・マイナーを使っていると、半音上げた7thの特別感がなくなってしまいます。



C7上で使える、もう少し高度なアイデア


「Summertime」には、もうひとつこのサウンドを試せる場所があります。


Gm7 → C7


C7上では、Fハーモニック・マイナーを使ってみることができます。


これは、よりカラフルなドミナント・サウンドになります。


Fハーモニック・マイナーには、C7の基本的なコード・トーンである、

C – E – G – Bb


が含まれています。


それに加えて、DbやAbといった、より強いテンションも入ります。


C7に対して、Dbは♭9、Abは♭13として機能します。


そのため、このサウンドは少し難しくなります。


緊張感が強く、明らかに「インサイド」なサウンドではありません。


そしてフレーズがきれいに解決しないと、


「ものすごく自信満々に間違った音を弾いた人」


のように聴こえる可能性もあります。


ただし、上手くフレージングできると、とてもカッコいいサウンドになります。


Gm7からC7までのセクション全体にFハーモニック・マイナーを無理やり当てはめるのではなく、C7上で一瞬だけ加える色として使うのがおすすめです。


まずは、よりシンプルなA7とD7の例から練習してみましょう。


その二つが自然に聴こえるようになれば、C7上のオルタード感のあるサウンドも、より簡単に聴き分けてコントロールできるようになります。



シンプルな練習方法


必要以上に複雑にせず練習するなら、次の順番がおすすめです。

  1. A7 → Dmの進行に合わせて弾く。

  2. 最初はDナチュラル・マイナーのまま弾く。

  3. A7が出てきたら、CをC#に変える。

  4. Dマイナーへ解決する前に、C#をはっきり狙ってみる。

  5. D7 → Gmでも同じことを繰り返し、今度はGハーモニック・マイナーのF#を使う。

  6. フレーズは短くする。


3オクターブのスケール練習をする必要はありません。


半音上げた7thをはっきりと使った短いフレーズの方が、スケール全体を速く駆け上がるよ

りも、そのサウンドについて多くのことを教えてくれます。



コード進行に合わせると、ハーモニック・マイナーはもっと自然に聴こえる


ここで一番伝えたいことは、単に、


「ハーモニック・マイナー・スケールを覚えましょう」


ということではありません。


大切なのは、ハーモニーの変化に反応して弾くことです。


「Summertime」の大部分は、Dナチュラル・マイナーで弾くことができます。


でも、だからといって、すべてのコードをまったく同じように聴かせる必要はありません。

A7が出てきたら、C#を使う。

D7が出てきたら、F#を使う。


この二つの音によって、ドミナント・コードの響きがはっきりし、フレーズがどこへ向かっているのかも明確になります。


そこで初めて、ハーモニック・マイナーが単なるスケールではなく、自分の音楽的なボキャブラリーの一部になっていきます。


ぜひ試して、サウンドがどう変わるか聴いてみてください。


この二か所で使うだけでも、ソロの聴こえ方は意外なほど大きく変わります。



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