top of page

ギター人生を変えた6つのアドバイス:ヴァイやホールズワースに学んだこと

ree

今回は、僕がこれまでに出会ったプロミュージシャンたちから学んだ、今でも心に残っているアドバイスや言葉を紹介したいと思います。


それはスケールや運指のコツのような「テクニック」だけじゃありません。人生やマインドセットに響くものも多く、時にはギター以外のジャンルからも大きな影響を受けました。


ギター界のレジェンド、ジャズの巨匠、そしてまさかのコメディアンまで。今回は、そんな彼らから受け取った6つのレッスンをご紹介します。



🌈 スティーヴ・ヴァイ – とにかくやって、次の日もやる


17歳のとき、トロントでG3ツアー(スティーヴ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニ、ジョン・ペトルーシ)を観に行きました。もう、顔が吹き飛ぶくらい衝撃でした。


ライブ後、ヴァイ本人と話すチャンスがあったんです。当時ギター歴3年ほどだった僕は、即興演奏に悩みまくっていました。スケールは覚えたけど、どう弾いても「音楽」にならない。何かが足りない気がしていました。



だから、思い切って質問しました:

「即興が上手くなるにはどうすればいいですか?」

彼の答えは:

「バッキングトラックを流して、とにかく弾いてみる。飽きたらやめる。そして、次の日もまたやる。」

……それだけ?と当時は思ったけど、今ではその言葉の意味がよくわかります。


即興演奏の上達に必要なのは、「とにかくやってみること」。最初から正解なんてなくて、ただ「毎日やってみる」ことがいちばん大事だったんです。


ヴァイの言葉からは、真剣だけど遊び心のある姿勢が伝わってきました。まさに「掘り続けろ。試し続けろ。そうやって自分の道が見えてくる。」という感じです。



🎸 アラン・ホールズワース – 指に支配されるな


2005年、トロントでアラン・ホールズワースがライブ後に開いた無料のギタークリニックに参加しました。


もう一度言います。モダン・エレクトリック・ギターの巨人ともいえるホールズワースが、無料で、カフェで、少人数相手にクリニックをやってくれたんです。チケットも必要なし。大物なのに、まったく偉そうなところがない。シェア精神の塊でした。


彼はあまり多くを語らないタイプ。でも、J.J.ジョンソンやゲイリー・ハズバンドとのトリオでプレイし始めた瞬間、空気が一変しました。まるで音楽が体の内側から自然に湧き出してくるような、そんなプレイでした。


そんな彼の言葉で今でも覚えているのが:

「自分の指に、弾ける/弾けないを決めさせるな。」

テクニック云々ではなく、マインドの話です。ホールズワースのアプローチは「開かれた姿勢」「実験精神」「そして自分の限界を超えること」。


当時、その場にいた多くの参加者がこの考え方に戸惑っていたのを覚えています。明確な答えや練習法を求めていた人たちにとって、ホールズワースの「自由なアプローチ」は消化しづらかったのかもしれません。


でも僕にとっては、今でも大切にしている哲学です。



🔧 オズ・ノイ – 全部のスケールはいらない(考えすぎるな)


2011年、オズ・ノイがトロントのThe Rex Hotelで3日間のライブをやるという情報を聞いて、すぐに連絡を取り、本人のホテルの部屋で個人レッスンを受けることに成功しました。アンプを担いで街を歩いたのも今ではいい思い出(笑)。


このレッスンは、僕のギター人生の中でも特に衝撃的な体験のひとつでした。


オズの音楽は、一見ものすごく複雑なスケールやモードを使っているように聴こえます。でも実際に彼に聞いてみると、彼が主に使っているスケールは:

メジャーペンタ、マイナーペンタ、ミクソリディアン、ドリアン、ディミニッシュ、オルタード。それだけ。

「それ以外のモード?面白いけど、なくても音楽は作れるよ。」と彼は言っていました。


この言葉は、僕の中にあった「もっとスケール覚えなきゃ」という焦りを一気に取り除いてくれました。


そしてもうひとつ印象的だったのが……


彼に「ディミニッシュスケールを弾いてみて」と言われたとき、僕が「ホール・ハーフですか?それともハーフ・ホール?」と聞き返すと、


彼はため息をついて一言:

「あぁ…君、音大出身でしょ(笑)」

まさにその通りで、僕は理論で頭でっかちになっていたんです。オズは「知識は大事だけど、それが邪魔になることもある」と教えてくれました。


音楽は理論じゃなくて、まずは「音」ありき。反応と感覚を大事にしよう、という大切な教訓でした。



🎷 デイヴ・リーブマン – レーザーのような集中力と「2つのポケット」の練習法


2007年、僕がハンバー大学に通っていたとき、サックス奏者のデイヴ・リーブマンが1週間のレジデンシーとして来校しました。もう、とにかく伝説的な1週間でした。


彼の存在感は「ジャズのヨーダ」あるいは「ジャズ版のパイ・メイ」って感じ。学生だけじゃなく、教授たちにも容赦なく突っ込む。でも誰も反論しない。むしろ「はい師匠…申し訳ありません…」と頭を下げる感じでした(笑)。


その週は本当に情報の洪水でしたが、僕の中でずっと残っているのはこの2つの教えです:


① 毎週ひとつのことに集中しろ。


「10個のことを一気にやろうとするな。1つでいい。1フレーズでも、1小節でも、いや、半小節でもいい。」


そしてそれを毎日やること。できるまでやる。


ギターのレベルに関係なく、この考え方はすべてのプレイヤーに当てはまります。


②「良いこと」と「悪いこと」をそれぞれポケットに入れて歩け。


この言葉は今でも忘れられません。

「良い結果は右ポケットに、悪い結果は左ポケットに入れて、そしてそのまま1日を過ごせ。」

いい日も悪い日もある。それが普通。


でも、どっちにしても前に進み続けることが大事なんだと、リーブマンは教えてくれました。



🎤 ビル・バー – 小さなことでも最後までやり切れ


少し意外かもしれませんが、僕の人生に強く影響を与えたのは、ギタリストではなく…コメディアンのビル・バーです。


彼のポッドキャストの中で、"やりかけのことをちゃんと最後まで終わらせること" について語っていたのを今でも覚えています。


例えば皿洗いをすぐにやるとか、家事を見つけたらその場でやるとか。小さなことをちゃんとやることで「完遂する人間」になる。そしてそれが人生の他のすべてにも影響する、という話でした。


彼が言った中で今でも心に残っているのがこの一言:

「そういうことをやるようになると、それが自分自身になる。そして、自分が本当にやりたいことにもそれが滲み出てくる。で、ちゃんと完遂するようになるんだ。」

結果を期待しすぎるのではなく、とにかく出し続ける。それを繰り返すことで、いつの間にか「作品の積み重ね」ができていく。


ギターも同じです。練習も、ライブも、作曲も、一つひとつは「特別な一発」じゃないかもしれない。でもやり切って、積み重ねていくことで意味が出てくる。



🧩 ウェイン・クランツ – 自分の声を見つける(いちばん難しいのは「手放す」こと)


ウェイン・クランツには直接会ったことはありませんが、ある大学のマスタークラスでの彼のスピーチ映像を何度も見返しています。


彼が話していたのは、「自分の声を見つけるために、自分が好きだったものすら捨てなければならなかった」という話でした。

「自分が好きだったメロディーも、ハーモニーも、リズムも、あえて手放した。すでに誰かがやっているから。それを真似したところで、自分の声にはならないから。」
「大人になったら、もう他人の真似じゃなくて、自分の言葉を探すべきなんだ。」

この話は、特にある程度上級になったプレイヤーにとって響く話だと思います。コピーして、吸収して、テクニックを磨いたその先に待っているのは:

「で、自分は何を言いたいのか?」

簡単なことではありません。でも、あえて自分の好きなものから離れて「自分の声」を探すクランツの姿勢は、本物のアーティストとしての在り方を教えてくれました。



✨ 最後に


これらのアドバイスは、さまざまな場面、さまざまな人からもらったものですが、共通しているのは:

繰り返すこと。練習すること。時間をかけること。

何事も「積み重ね」なんですよね。


今ギターを始めたばかりの人も、何年も続けている人も、経験者の言葉から得られる気づきって本当に大きい。


もしこの記事が何か響いたなら、ぜひ覚えておいてください。そしていつか、あなた自身が誰かに伝える側になってくれたら嬉しいです。



🔊 自分の道を一緒に見つけてみませんか?


僕は初心者から上級者まで、さまざまなレベルの生徒さんとレッスンをしています。


ジャズ、ファンク、R&B…どんなジャンルでも、自分の声を見つけていくためのお手伝いをします。



一歩ずつ、自分の音を育てていきましょう。🎸

 
 
 

コメント


bottom of page